Little Sound Djと呼ばれるソフトを使ってチップチューンを作ることに以前から少し興味があったので、ソフトウェアの入手から、カートリッジへ書き込んで実機のゲームボーイで動かすところまでやってみました。
LSDJの入手
LSDJは、初代GB(DMG, Dot Matrix Game)やGBC(GameBoy Color)で動作する、チップチューン作家御用達の作曲ソフトです。
一般的なカートリッジでの販売は無く、ゲームボーイのROM形式(*.gb)でダウンロード販売されています。
公式サイトからPaypal経由で購入し、購入完了のメールに記載のURLからDLする形になるので、クレジットカードかPaypalアカウントがあればすぐに入手できます。
執筆時の2014年12月現在、価格は日本円で498円でした。
また、日本語の説明書のPDFもダウンロード可能なので、購入前に一度目を通しておくと良いかもしれません。
http://www.littlesounddj.com/lsd/latest/documentation/LSDj_4_0_0_jp.pdf
LSDJをエミュレーターで動かす
BGB というフリーのエミュレーターを利用しました。
BGB GameBoy Emulator (current version: BGB 1.5.1)
実機の音に近く、ゲームの出力音をwavファイルに録音することも可能なので、とりあえずこのエミュレーターで練習することにしました。
特に実機で動かすことに拘りが無ければこれで曲を作っても良いのではないか、と思います。
デフォルトではゲームボーイカラーをエミュレートする設定になっているので、表示もカラフルですね。
ゲームボーイカラーで動かしている時は、LSDJの設定画面から配色を変更することも出来ます。
初代GBの入手
私はゲームボーイカラーを所有していたのですが、歴代のゲームボーイシリーズの中でも初代GBが音のキャラクターや音質が優れているようなので、オークションサイトで1000円弱で落札しました。
歴代のゲームボーイの音の比較については、こちらの動画がとても参考になりました。
早速手持ちの初代GB/GBC両対応ソフト「ポケットモンスター 金」を起動してみました。
よく見ると画面端、「ポケットモンスター」の「ポ」の辺りに縦のラインが2本入っていますが、これは「ライン抜け」と呼ばれる経年劣化で、分解して液晶下部に半田ごてを当てることで直すことができるようなので、以下の記事を参考に修理しました。
初代ゲームボーイの液晶ライン抜け修理のこと | tee-suzuki.com
また、分解して清掃、洗浄も行いました。
私のゲームボーイは普通のプラスドライバーで分解できましたが、ロットによっては、Y字ドライバーが必要なようです。
DS/DSi/DSlite対応ツール Y字ドライバー 分解・修理
GB USB SMART CARDの入手
LSDJを実機のゲームボーイで動かすためには、ROMイメージを焼くためのカートリッジが必要になります。(GB USB SMART CARDがよく用いられる)
今回は、ゲームボーイ関連の改造パーツを豊富に扱っている KITSCH BENTというアメリカのショップから個人輸入してみました。
執筆時点での価格は、$42.00。1ドル118円とすると約5000円といったところでしょうか。
私は他にもバックアップバッテリーの予備や、ステッカー、液晶バックライトキットなどなどを購入しました。
こちらのショップでも、Paypal経由での購入となり、配送方法により送料が異なるようで、一番安い$7 で発送してくれる配送方法を選びました。
また、出品者側でわかるように、英語で住所を入力する必要があります。
ただ、国名以降の部分は日本の配達員(郵便局?)の方が見ることになるので、ローマ字表記でも全く問題ないようです。
私はマンション名も含めて、市区町村をローマ字で書きました。
購入手続後、5営業日経っても発送を連絡するメールが来なかったので、こちらからメール(もちろん英文)で催促したところ、翌日に「発送した」という旨のメールが届き、USPS(アメリカ郵便公社)の追跡番号も記載されていました。
ネットで調べてみたところ、USPSは荷物の扱いも酷く紛失や遅配も多いようで、少し心配になりましたが、発送から10日ほどで無事に到着しました。
USPSの追跡ページではアメリカの国内での記録しか残らないようで、12月11日にマイアミの施設を出発したところから更新が途絶え、配達中のままになっています。
エアクッション(いわゆるプチプチ)が付いたの封筒にそのまま商品が入っている、なんともアメリカらしいシンプルな梱包です。
あれ、ステッカーとスクリーンガードも一緒に購入したのに、入って無い…?と思ったら、カートリッジの箱のなかにありました。
簡易な梱包での耐衝撃を考えた工夫でしょうか?
同時に購入したパーツはまた後日、改造に使うことにします。
GB USB SMART CARDには、おまけでLSDJステッカーが1枚ついてきました。
試しにゲームボーイに挿して起動してみたところ。kitshbent と表示されるプログラムが最初から入っていたのかな…?
(掃除している時に液晶のカバーの部分が外れてしまったので、応急処置で紙テープで固定中…)
mini USBケーブルで接続するとLEDが光ります。
ステッカーも貼ってみました。
これで後ろからもばっちりLSDJのロゴが見えます。
USB端子は上部に付いているので、いちいちゲームボーイから外さなくてもUSB接続が可能で便利。
実際にLSDJを焼いてみる
無事にカートリッジが届いたので、いよいよ書き込みです。
64bit Windowsでドライバ入れるのは大変そうだったので、ここは楽をするために UNIX環境で動くコマンドラインツールを利用しました。
Mac用にバイナリも用意してあり、Yosemiteでも利用可能。
使い方は至って簡単で、USBで接続した後、ターミナルから
./ems-flasher --write [*.gb,*.savファイルの場所]
を入力するだけで書き込みが可能。
早速、LSDJのROMを書き込んでみましたが、1~3分ほど掛かりました。
そしてゲームボーイの電源を入れると…
これで、やっと実機でLSDJを起動できるようになりました!
最初の起動は初期化に若干の時間が掛かる(?)ようです。
*.sav ファイルも書き込めば、エミュレーターで作った曲もすぐ再生できます。
ちなみにゲームボーイカラーで動かすとこんな感じ。
実機で動かすのは予想以上に手間がかかりました…。
これからやりたいこと
- バックライト化改造
- ProSound Mod
- MIDIインターフェースを作ってDAWと同期できるようにする
- etc…
MIDIインターフェースは通信ケーブルポートに接続することになるので、パーツの調達が少し大変そうですが、ProSound化とバックライト化はパーツがあるのですぐにでもやりたいですね。
まだLSDJの使い方もよく分かっていないところがあるので、これから頑張って練習したいと思います。
ゲーム機の分解・改造等は、くれぐれも自己責任で行って下さい!
ではまた!
Comments
kyo5884さん、初めまして。
ちょうどLSDjを始めてみようかと思い、
情報を探していたところここにきました。
最新の体験記事と、詳しい手順にとても驚いており、ためになる情報をありがとうございます!
2点ほど質問なのですが、
1.私のPCはWindows7 64bit版なのですが、64bit版でもSMART CARDを動作させるために、
EMS Flasherをダウンロードすれば利用可能になるのでしょうか?
kyo58841さんはMACユーザさんの様でしたので、WindowsOSでも問題ないのか確認したく。
2.kyo5884さんの買われたバックアップバッテリーは
http://store.kitsch-bent.com/のサイトのどれになるのでしょうか?
データ消失に備えて、バックアップは買ったほうがいいといわれていますが、
どれを買うべきか迷っており・・
長くなりましたが、よろしくお願いいたします。
のび さん
コメントありがとうございます。
質問についてですが、
1. 記事中のEMS Flasherは、MacやLinuxでは使えますが、Windowsで使うことは出来ません。
しかし、64bitのWindows環境でも、特殊なツールを使ってドライバをインストールすれば GB_USB.exeというライターが使用可能なようです。
私は試していないのですが、以下の動画が参考になるのではないかと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=rrdoX8SHFL8
また、少し回りくどい方法ではありますが、VirtualBoxやLiveCD、あるいは不要になったPCなどを使ってdebianなどのLinuxを起動し、EMS Flasherでカートリッジに書き込むことは可能だと思います。
どちらも少し面倒ではありますが、もし購入されたら試行錯誤して試してみてください。
2. バックアップバッテリーの予備についてですが、こちらの商品を購入しました。
http://store.kitsch-bent.com/product/32m-smart-card-replacement-battery
しかし、現在売られているGB USB SMART CARDには市販のCR1220というボタン電池が使われていて、はんだ付けなしで交換出来るので、こちらの特殊なバッテリーは不要です。
市販のCR1220を買えばOKかと思います(カートリッジ裏側のネジを開けると交換できます)。
ただ、このバッテリーは、ゲームボーイ本体の電源が切れてもカートリッジ上のセーブデータが消えないようにするためのバッテリーであり、予備があってもバッテリーが切れるとセーブしたデータは消えてしまい、新たにデータをセーブすることもできなくなります。
(他のゲームでのよくある症状に例えると、昔のポケモンを久しぶりにプレイしたら、「はじめから」しか選択できず、プレイ中にレポートを書いても「つづきから」が遊べなくなる、といった症状です。)
そのためデータの消失に備えるには、バッテリーの予備だけでなく、EMS Flasherなどのツールで、定期的にPCにセーブデータのバックアップを取るのが安全です。
以上が質問に対する答えとなります。
また分からないことがありましたら気軽にコメントください。
スクリーンカバーの処理についてお聞きしたいんですが、
取れてしまったスクリーンカバーは何を使って再接着しましたか?
よろしくお願いします。
simizu さん
コメントありがとうございます。
スクリーンカバーですが、私はたまたまあった木工用ボンドで接着しました。
強力な両面テープなども使えると思いますが、毎日持ち出すなどハードな使い方をするのであれば、改造ショップで取り扱っているスクリーンカバーに付け替えるのも手だと思います。
返信ありがとうございます。
prosound化の記事も読ませていただきました。参考にさせていただきます。
予算の都合でLSDJ実機は難しそうですが、できなければできないなりに使い方を考えてみようと思います。
ありがとうございました。
simizuさん
はじめまして、チップチューンを作りたく未開拓の分野に手を出して困っています;
初期のGB smartcard lsdjのrom これらを入手した所まで来ました、ここから先にいくつか分からないことがあります。(ほぼ分からないのです)
私のpcは mac os x 10.10.2 なのですが smart card への書き込みは可能ですか?試しにUSBで接続をしてみたところ、LEDが光らないのですが問題ないのでしょうか? 又、smart cardにドライバーが付属していたのですがMACは対応していないようです。これの代わりにEMS Flasher for Mac / Linuxを使用するということでしょうか?
EMS Flasher for Mac / Linuxは10.6のバージョンでよろしいのでしょうか?
初歩的すぎる質問ばかりでゴメンなさい。どうぞよろしくお願いします。
もか さん
コメントありがとうございます。
OS X 10.10でも、記事で紹介している10.6向けのEMS-flasherが利用可能です。
LEDが点灯しないのはよくある接触不良かと思いますので、挿し直してみたりケーブルを変えて試してみてください。
simizuさん
頑張ってみたところ出来ました!入りました!
よかったです!曲が出来たら載せますね!とても参考になりました。ありがとうございました。
はじめまして。以前中古でLSDJ入力済みGBusbと、GB本体を買いました。しかし、作曲してセーブし、しばらくたってから起動させるとデータがすべて消えてしまいます。。。
カセット内臓電池の電池切れが原因かと思い、電池を交換しましたが相変わらずです((+_+))、、
なにが原因なのか、見当つきますでしょうか。。。?
周りにチップチューンに詳しい人がいなく、この場を借りさせていただきました(;O;)よろしくおねがいします!
いたやんさん
コメントありがとうございます。
カセットの電池を交換してもセーブデータが消えるとのことですが、
セーブの時にエラー等出なければ、交換した電池が違うか、カセット自体が壊れている可能性が考えられます。
GB USB SMART CARDは2種類あり、現在売られているGB USB SMART CARDは「64M」のものですが、中古の場合は「32M」のバージョンの可能性もあるかもしれません。
「64M」のカセットの場合は、新品のCR1220を使ったか、向きが間違っていないか、確認してみてください。
「32M」のカセットの場合は電池交換にはんだ付けが必要です。
他にも、エミュレータ等でセーブしたデータ(.sav)をUSBでカセットに書き込んで、GB本体でそのデータが読み込めるか確認してみることもできます。
また、再生中に電源を切るとデータが消えてしまう事もあるようです…。
色々試して、検証してみてください。
初めまして。質問失礼します。
私もkyo5884さんと同じようにしてLSDjを使い始めました。
曲ができて、サウンドクラウドなどにアップしたいと思うのですがどのようにしてアップすれば良いかがわからないのですが、ご存知でしょうか?
もしご存知でしたら教えていただきたいです。よろしくお願いします。
y11yさん
コメントありがとうございます。
LSDjで作った曲をSoundCloudなどにアップしたいとの事ですが、
まずはゲームボーイのヘッドホン出力をPCに接続して録音し、wavやmp3のファイルにする事になります。
オーディオインターフェースをお持ちであれば、ヘッドホン出力をフォン端子に変換するケーブルなどを使って録音できます。
お持ちでない場合は、音質は劣化してしまいますが、サウンドハウスや家電量販店などで売っているステレオミニ端子のケーブルを使い、
ゲームボーイのヘッドホン端子をPCのライン入力やマイク入力の端子に接続してAudacity などのフリーソフトで録音しましょう。
その後に、SoundCloudにログインしてアップロード画面から録音したファイルを選択すれば、曲をアップロードできます。
Audacityなどを使った録音方法は、検索すれば分かりやすい解説が沢山出て来ると思うので、調べてみてください。
お返事ありがとうございます。すごく参考になりました!助かりました。色々調べながら頑張ってみようと思います。
はじめまして。LSDjで曲作りを私も始めたのですが、同じくLSDjを使ってる知人によくバグで曲が消えると聞きました。その曲をまた復活させる方法などはないでしょうか?もしくは消えないように気をつける事などはないでしょうか?もし知っていたら教えていただきたいですm(_ _)m
nzxx3 さん
コメントありがとうございます。
一度カートリッジから消えてしまったデータは、復活させることは難しいと思います。
PCでセーブデータのバックアップを取ってあれば、EMS Flasherなどの書き込みツールを使って、セーブデータを書き込み復元することは可能ですので、こまめにバックアップを取ることをおすすめします(EMS FlaherなどのソフトでPCにバックアップが可能です)。
他にも、曲の再生中やセーブ中にゲームボーイの電源を切ったり、カートリッジに内蔵のボタン電池が消耗していたりすると、データが消える可能性がありますので、そちらの方も疑ってみてください。
はじめまして、
最近gbusb smart cardを購入し早速ゲームボーイで起動させようと試みたのですが、
何回起動させようとNINTENDOのロゴタイプがバグ表示されるばかりで起動出来ない状態です。
本体の方に問題があるのかと思い、他のカートリッジで試してみたところ全て正常に起動しました、
私もkitsch bentで購入したのですが、当ページで起動させた時のようなkitsch bentの文字も何も表示されません、
もちろんromも何も書き込む前なので不安です、やはりこれは不良品なのでしょうか?
お返事を頂ければ幸いです。
motoko_kyoubouさん
・カートリッジの接点に異常がないか
・カートリッジを少し動かしてみたり、叩いたりしても認識されないか
・他のゲームボーイシリーズでも起動できないか
・USB経由でのROM書き込みは正常に出来るか
等を試してみてください。
それでも起動できない場合は販売店に連絡されるのが良いかと思います。
はじめまして。
LSDJを実機で動かしたくて参考にさせていただいたのですが、書き込みができません。
Could not find/open device, is it plugged in? というエラーメッセージがでてしまいます。
USBをGB USB SMART CARDに挿してもLEDが光らないのですが接続できていないということでしょうか…
USBをGB USB SMART CARDに挿したままそれをを実機に挿すとLEDが光るのですがその状態で書き込もうとしても同じエラーメッセージがでます…
不良品なのでしょうか…何度USBを挿し直したりケーブルを変えても光らないです。
お返事いただけたら幸いです。
GauCS6さん
コメントありがとうございます。
私のSmart Cardは、ケーブルを奥まで差し込まずに若干手前で止めると認識するのですが、USBケーブルを交換したり、コンピュータ側のUSBポートを変えてみたりしても直らない場合は初期不良の可能性が高いと思うので、販売店に連絡するのが良いと思います。
また、Macの場合は「このMacについて」→「システム情報」→「USB」、Linuxの場合はlsusbコマンドなどで認識しているか確認してみてください。