kyo5884's blog

シンセサイザーやコンピューター、その他音楽デバイスについての雑記

KORG Monologueを購入したのでレビュー

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今冬発売のアナログモノフォニックシンセ、Monologueを購入していました。
定価30,000円足らずで、音もデザインもクオリティが高く、惚れ惚れするシンセです。

購入経緯

大学帰りの楽器店にて試奏後、出音の良さと29,700円という値札を見てすぐ購入してしまいました。
黒、金、銀、赤、青の5色展開で、黒は売り切れだったので青と銀で迷い、結局Minilogueと同色の銀を選択。
店頭では青のモデルが展示されていましたが、そちらもマットな感じで、落ち着いた上品な雰囲気でした。

フォトレビュー

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外箱です。
KORGといえば少し前までは製品写真を大きく印刷した派手なパッケージでしたが、最近は無地の銀色の箱に緑色のシールが貼ってある外箱で統一してあります。

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色はシルバーで、型番はMonologue-SV。

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箱に入っていたもの。
ACアダプタが付属しないのは残念ですが、電池が付属するのはありがたいです。
説明書はクイックスタートガイドと保証規定の書かれたペラペラの紙の2枚で、詳細なマニュアルはKORGのウェブサイトでしか見れないっぽい。

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Minilogueは湾曲したようなデザインのフロントパネルでしたが、こちらは傾斜した一枚の板になりました。
Minilogueは全体的に余白部分が多くありましたが、こちらは少し切り詰められている感じがします。
これはこれでスッキリしていて格好いいです。

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ピッチベンドはMinilogueと同じスティックタイプ。これまでのホイール型のものと違い、ビブラートが掛けやすいです。
プログラムの設定で、ピッチベンド以外にアサインすることもできます。
左手で操作することを考慮して、鍵盤に対して斜めに配置されているのがとても使いやすく、よく考えられているなあと感心させられました。

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ギラギラしているようにも見えるしマットにも見える、不思議な質感です。
ノブはゴムのような滑り止め加工がされているのでとてもつまみやすい。
スイッチの感触や適度な重さにも高い品質を感じます。

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鍵盤はMinilogue、MS-20 mini、ARP ODYSSEYと同じ打鍵感です。
2オクターブと狭いですが、とても弾きやすく感じます。
しかし一番左の鍵盤がEなのは謎。
クラブミュージックのキックの音に最適化されている、ギターやベースに合わせやすいから(?)と公式に説明があった気がします。
確かに自動チューニング、電池駆動、プリセット、軽量……とバンドで使うのには良いかもしれません。

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背面のウッドパネルも相変わらずキュートです。Minilogueでは上面からはフロントパネルに隠れて完全に見えない設計でしたが、Monologueではフロントパネルにせり出すように取り付けられているので、アクセントにもなっています。
この木の部分、少し傷がつきやすいようで、購入2日目にして小キズがついてしまいました。
端子のついている黒い部分のプラスチック感が少しだけ残念。
接続端子はヘッドホン端子、オーディオ出力、オーディオ入力、Sync In/Out、MIDI In/Out、USB、DC入力、電源スイッチと、基本的なものは揃っています。
電源スイッチの見た目はカチッと押し込んでオン・オフするボタンのようですが、実はクリック感が全く無く、長押しで電源をON/OFFします。

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Volcaシリーズと同じように、裏面に電池ケースがあり、単三電池6本で電池駆動できます。
わりとすぐバッテリーが無くなるので、自宅で据え置き利用する場合はACアダプターがあった方が良いかもしれません。
背面の電源端子が9Vセンタープラスなので、私は変換ケーブルを自作してエフェクターペダル用のACアダプタで動かせるようにしました。
(エフェクターペダルのDCプラグとは極性が逆なのと、直径が微妙に違います。保証外の行為になると思うので、おすすめはしません)

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電源を入れるとシーケンサーのボタン部分に電池残量が表示され、チューニングが始まります。
せっかく有機ELのディスプレイがあるので、電池残量もスマートフォンのステータスバーにあるようなアイコンで表示したほうが分かりやすかった気がする……。


ちなみにチューニング中の画面でつまみかボタンを押すとミニゲームが始まります。
Minilogueではブロック崩しゲームでしたが、Monologueはハードル走のようにジャンプするゲームです。

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オシロスコープ。
有機ELのディスプレイとともに、筐体デザインによくマッチしていると思います。

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シーケンサーのボタンも16ステップ分になりとても扱いやすくなりましたが、シーケンサーのスイッチをMOTIONに倒すと記録されているつまみの動きがグラフで表示され、とてもわかりやすい。
しかしどの行が何のパラメーターなのかはメニューの深い階層に入らないと確認できないのでマイナスポイントです。

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同じくらいの価格帯の、Arturia MicroBruteとの比較。
大きさはMicroBruteの方が小さいですが、重さはMonologueの方が軽いことに驚きました。
MicroBruteは完全なアナログでパッチが自由に可能……といったコンセプトの違いはありますが、プリセット機能や電池駆動、2VCO、高度なシーケンサー、価格面を考えると、どうしてもMonologueの方が優勢な気がしてしまいます。

音や機能について感じたこと

どうしてもMinilogueとの比較になってしまいますが、やはりサウンドキャラクターで大きく違うのはフィルターです。
Minilogueのフィルターはシンセブラスやパッド系の音色によく馴染む、滑らかなシルクの布のような質感でしたが、Monologueではレゾナンスの効きの強い、ベース等に特化した太いフィルターであるように感じました。

オーバードライブを搭載していたり、シーケンサーにはSLIDE機能も搭載していて、プリセットにTB-303のようなシーケンス付きのものがいくつかあり、手軽にAcidサウンドを楽しむこともできます。

シーケンサーを走らせたままプリセットを変更しても、シーケンスの途中からでもきれいに次のプリセットに移るのですごいなあと思いました(小並感)。

EGは一般的なADSRではなく、AR/ASR/AD+GateをTYPEスイッチで選択する仕組みです。
AR/ASRのモードでは、Targetスイッチで指定したターゲットとVCAの両方に同じエンベロープが適用されますが、TYPEスイッチを一番下のAD+Gateにした時のみ、TargetにはAD、VCAにはGateが適用されるようになっていて、初見では少し戸惑います。

LFOのMODEスイッチではFast/Slow/1-Shotと3種類のモードが選択でき、Fastにすると可聴域までレートが上がるのでかなり過激になります。
1-Shotモードではエンベロープ的な使い方もできますが、LFOが「Rateを上げる→減衰時間が短くなる」のに対してエンベロープでは「Decayを上げる→減衰時間が長くなる」なので、ライブの時などはその辺を理解して冷静に操作する必要がありそうです。
EGのTargetが同時に2つ以上指定できないのは少し物足りなく感じますが、LFOの1-Shotモードがそれを補ってくれているので、良く言えばバランスが取れていると言えるでしょう。
この辺りの柔軟性の高さは昨今のEurorackブームに影響されているのでしょうか?とても興味深いです。

たまにバグのような症状に遭遇することがありますが、今後のファームウェアアップデートに期待したいところです。
欲を言えば、USBのバスパワーで駆動できたら最高だったと思います。

しかしながらこの価格でこのクオリティのシンセサイザーをリリースできる会社はなかなか無いでしょう。
このシリーズの製品が続くとしたら、次は4〜5オクターブ程度の標準サイズの鍵盤でモンスター級の機能が詰め込まれたPrologue………とかでしょうか?(
今後もKORGの新製品に期待したいところです。

Comments

  1. takos より:

    Waldorfの機材を調べていてこちらにたどり着きました。
    Prologueの予言(笑)・・・見事に当たりましたね。

    minilogue か monologueか prologueか….と食指が動き検討中なのですが、細かな点まで書かれていてとても参考になりました。

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