access社のアナログモデリングシンセサイザー、Virus TI2 Polarの中古を買っていました。 強力なDSPによる多くの機能やDAWとの連携機能を搭載していて、見た目も音も値段もすごいシンセです。
電源の入れ方
Virus Ti2 Polarには電源ボタンは無く、キーボードトランスポーズボタン(オクターブシフト)を同時長押しでON/OFFします。
私は他のシンセと一緒に電源タップに繋いで、電源タップのスイッチで電源を入れていますが、Virus本体の電源を入れたまま電源タップのスイッチで電源を入れたり切ったりすれば本体のボタンを押さずに電源を入れられるので、そっちの方が楽かもしれません。
OSのアップデートとプラグインのインストール
Virus TIはDSPを搭載していて、PCと接続しOSをアップデートすることによりエフェクトやオシレーターの種類が増えるといった機能の追加が無料で行えます。
早速accessのwebサイトからインストーラーをダウンロードします。
ダウンロードにはユーザー登録とログインが必要です。 他にも、AccessのサイトではVirus TIシリーズ用のプリセットが大量に公開されていて、無料でダウンロードできるので、一見の価値はあると思います。
1つのインストーラーでOSのアップデートとプラグインのインストールを同時に行うようでした。
途中でVirusをUSBで接続するように指示されるので従います。
インストールは特に迷うこと無く完了しました。 OSのアップデートは30分以上掛かったような…気がします。
インストールが完了すると、プラグインとは別にVirus Control Centerというソフトウェアがインストールされ、Virus本体のOSアップデートと設定やプリセットのバックアップ/リストアが出来ます。
また、プリセットを「ROM焼き(BURN TO FLASH ROM)」することができます。
RAMバンクとROMバンク
Virus Ti2にはA-Dの「RAMバンク」とA-Zの「ROMバンク」があり、それぞれのバンクに127プリセットを保持できます。
「ユーザーが作った音色はRAMバンク、メーカー出荷状態から入っている音色はROMバンク」といった棲み分けがされているので、通常はユーザーの作成した音色はROMバンクには保存できないようになっています。
しかし、このVirus Control CenterではROMバンクの書き換えが出来るのです。
ただし、書き換えはバンク単位(127プリセットごと)、プラグインからエクスポートしたMIDIファイルのみでしか出来ず、時間も少し掛かります。
AccessのWebサイトで公開されているプリセットや、reFXなどで売られているお気に入りのプリセットを焼いたり、RAMバンクが自作の音色で一杯になった時のバックアップ用としてはかなり有効活用出来るんじゃないでしょうか。なかなかユニークな機能で驚きました。
勿論、書き換えた音色を出荷状態にリストアすることもボタン1つで可能で、RAMバンクの音色の管理はプラグインから1音色単位で簡単に行えます。
プラグインでDAWと連携
続いて、DAW(Cubase)からプラグインエディタを読み込んでみます。 VST3とVST2の2種類のプラグインがインストールありますが、どちらでも余り違いはないみたいです。
この画面のまま1時間程度経ってもなかなかプログレスバーが進みませんでしたが、他のUSBポートに挿しなおしてみた所、ほんの数秒で終わりました。
近くのUSBポートに他のデバイスが繋がってると不安定になる事が多いです……。USBのコントローラーチップとの相性もあるかもしれません。
私の自作マシンはEtron製のUSBコントローラーですが、Virusを接続するとPCが固まってしまう事もあります……。
無事に起動が完了しました。
プラグインエディターは16マルチティンバーで、オシレーターやフィルターなど、セクションごとにページが分かれていて、アナログシンセ(アナログモデリングシンセ)を触ったことがある人ならすぐに理解出来て分かりやすいと思います。
本当にまるでソフトシンセかのように使えて、オートメーションやパラアウトも勿論可能です。
パラアウトはUSB経由でステレオ3系統、本体のアウトプットからステレオ3系統を出力することが可能です。
レイテンシーは少し感じる事もあります(この辺もPCとの相性がありそうです)。
私はCubaseを利用していますが、Virusは外部DSPプラグインとして認識されるので、DAWから曲をwavファイルに書き出す際にリアルタイムで書き出す必要があるので注意が必要です。
個人的な要望としては、ハードシンセの音作りの為にいちいちDAWを起動するのが面倒なので、スタンドアロン版もあったら良かったと思います。
RAMバンクのプリセットはプラグインから管理することが出来ます。 Virusの本体に移したり、midiファイルへのエクスポートもドラッグ&ドロップで簡単に行えます。
ハードウェア
DAWとの連携やソフトウェア面がかなり強力なVirus TIシリーズですが、勿論ハードウェアも完成度が高く素晴らしいです。
金属製のサイド部分の質感も良く、鍵盤下部が木製で上品なアクセントになっています。 鍵盤は恐らくファタール製。アフタータッチ付きで、弾き心地は抜群です。思った通りの強弱加減を音源部まで伝える事ができます。
リアパネルにAccess社のロゴがついていて、BPMに合わせて点滅するようになっています。 設定で常時点灯にしたり、点滅のパターンを変えることが出来るようになっています。
筐体いっぱいにボタンとつまみが付いていて、いかにもシンセサイザーという見た目です。
中央の3つのノブは画面に表示されたパラメーターを調整したり、プリセットごとに3つ自由にアサインできるパラメーターを動かすことが出来ます。
全部で50以上のつまみとボタンがありますが、それでも深い場所にあるパラメーターはエディットしづらいです。
(あのパラメーターはどこだったっけ…ってなります……。)
アップデートで機能が増えるにつれパラメーターが増え、エディットの詳細ページは複雑になるので、その弊害とも言えそうです。
Shiftボタンを押しながらつまみを回す動作は、左手と右手がそれだけで埋まってしまうので、鍵盤を弾きながら効果を確認する事が出来ず、少し使いづらいとも思いました。
また、つまみにスムージングが掛かるようになっていて、パラメーターの数値は127段階でも内部では滑らかに変化するようになっています。
音色の所感
- オシレーター
基本的なアナログ波形に加え、HyperSAW(ノコギリ波を複数重ねる)、ウェーブテーブルが選べるのですが、やはりHyperSAWが好みです。ウェーブテーブルもリッチで個性があり、使えるとは思いますが、個人的な好みではWaldorfのシンセには敵わないと思います。 - フィルター
とても上品で滑らか、繊細に感じます。
普通のフィルターとAnalog Modeがありますが、Analogより通常のフィルターの方がVirusの個性が感じられ、好みです。
レゾナンスを掛けない時の独特のもっちりとした感じが堪らないです。 - エフェクト
かなり強力で、ディストーションやディレイ、リバーブそれぞれにいくつも種類があり、掛ける時にどれを使うか迷います。
まだ数週間程度しか使っていないので可能性は未知数ですが、音色は全体的にトランスやエレクトロのコードやプラック系のポリフォニックの音、ウワモノ系の音色が一番好みだと思いました。
それ以外の音が出せないというわけでは勿論ありませんし、個人の技量の問題もあるかと思いますが、モノで鳴るリードの音とかはちょっと作りにくいです。
上品で少し丸い音が特徴のように感じました。