OP-1で有名なスウェーデンのシンセサイザーメーカー、Teenage EngineeringのPocket Operator(PO-12とPO-16)を個人輸入で購入しました。
Pocket Operatorとは
シンセサイザーメーカーのTeenage Engineeringと、ファッションブランド Cheap Mondayのコラボレーションにより、2015年のNAMMショーで発表された小型のシンセサイザー/リズムマシンです。
リズムマシンのPO-12 rhythm、ベースシンセのPO-14 sub、リード向けシンセのPO-16 factoryの3種類があります。
teenage engineering – pocket operator 10 series
発表時に掲載された動画やサイトを見て、59ドルという低価格と、サウンドの良さ、クロックを用いたテンポ同期が可能(後述)、という点で、PO-12とPO-16の購入を決意しました。
画面の部分を見て分かる通り、任天堂のゲーム&ウォッチに影響を受けた電卓のようなデザインとなっています。
音に合わせて動く絵やキャラクターがとても可愛らしいですね。
他にも、Teenage Engineering のOP-1は、カシオのVL-1に影響を受けて作られたと言われています。
注文から到着まで
2015年4月現在、日本では販売されていないので、Teenage Engineeringのサイトから直接注文する形になりました。
日本までの送料は9ドルでした。
(先述の通り、Teenage Engineeringは、日本の製品に影響されたデザインの製品を作っていたり、Webサイトやパッケージの随所にも何故か日本語があしらわれていたり、自社の製品を日本語で解説した動画までも作っていたりするのですが、日本での知名度や人気があまり無く、少し残念です…)
支払いにはpaypal経由でのクレジットカード支払いを利用しました。以前、ゲームボーイの改造パーツを購入した時にも利用したので特に躊躇せず注文が完了しました。
しかし、発表された直後であったこともあり、注文から発送までかなり時間が掛かりました。
(Teenage Engineeringのメールマガジンによれば、予想をかなり上回る量の注文があったそうです。)
発送連絡メールが来てからは、追跡番号が無く心配でしたが、約1週間ほどで到着しました。
関税などは(2台のみの注文では)掛かりませんでした。
実際にさわってみる
箱の中には納品書と、プチプチに包まれたPO-12とPO-16が入っていました。
外箱です。つまみの部分とハンガーの部分が箱から飛び出しているのが、変わったデザインで面白いと思います。
左側面はお菓子の箱のようなミシン目のある開け口になっています。お洒落なので開けるのが勿体無い。
箱の内側はざっくりとした操作方法が書かれたガイドになっています。
ここにも何故かカタカナの微妙な訳が。
ちゃんとした説明書も同梱されていますが、Teenage Engineeringのサイト上に掲載されている説明書の方が図やアイコンで説明されているので圧倒的に分かりやすいです。
https://www.teenageengineering.com/guides
本体。ハンガーの部分も含めて、1枚の基板から作られています。
基板は厚みがあるので、見た目以上にしっかりしています。
裏側に、針金のようなスタンドがついていて、展開すると角度をつけて置くことができます(あんまり安定はしないけど)。
裏側。よく見ると基板のパターンが見えます。金色の端子や印刷が眩しくて良い感じ。
電池をセットするスペースの後ろにスピーカーを内蔵しています。
ただ、はんだ付けされている端子などが剥き出しになっているので、扱いには少し注意が必要かもしれません。
また、Teenage Engineeringのサイトではシリコン素材でできたケースも販売しています。
Pocket Operatorは単4電池2本で動作します。
実際に手にとって電池を入れるまで、単3電池を使うものだと思っていました……。
電池を入れると自動で電源が入り、時計合わせの画面になります。時計機能やアラーム機能が付属するためか、Pocket Operatorには電源スイッチや電源ボタンは無く、一定時間が経つと自動でスリープモードになります。
ちなみに、公式サイトでは待機状態で2年バッテリーが持つと謳われています。
右上に時計が表示されます。12時間表示のみ?
アラーム機能では、指定した時刻に保存したパターンを内臓のスピーカーで鳴らすことができ、こういった機能も遊び心があって面白いと思います。
時計の表示部分はBPMや音色の種類の表示に使われることもあります。
その下には2つのつまみのパラメーターA/Bの量の表示もあって、つまみの動作をパターンに記録(パラメーターロック)する時は、視覚的でとても分かりやすい。
音について
古典的なアナログモデリングシンセというわけではなく、FMやデジタル波形の音色が主体となっています。
パラメーターは2つのみですが、その2つも必要な最低限のパラメーターを選んできている感じはあって、PO-12のドラムの音では思った通りに調整することができます。
ただ、PO-16のリードシンセの音になると、「もうちょっとアタックを強くしたい……」とか「ポルタメントの掛かり具合が……」とか思うことが結構あります。
PO-12のドラムの音は本当に好みです。デジタルっぽいローファイな感じとか、よく出ていて格好良いと思います。
FX というボタンがあり、FXボタン+数字キーを同時押しすることで、フィルターやディストーションといったエフェクトを発動することが出来ます。
シーケンスのループの中で発動するとそのエフェクトが記録されて、次のループからも同じエフェクトが再生されます。
工夫次第で面白いグルーヴが作れて楽しいです。
PO-16は、「FX」以外にも、「key」という機能があり、シーケンスを走らせながら、ボタンを押している間だけコードを鳴らしたり、アルペジエーターが発動する、というものがあります。
こういった機能もデジタルベースのシンセ(シーケンサー)ならではの面白さではないでしょうか。
また、リード用シンセですが、別のトラックでドラムの音も内蔵されています。
(PO-16に内蔵されているドラムは2つ以上の音を同時に鳴らすことが出来ないので、申し訳程度ですが…)
同期について
私は所持していないので試していないのですが、Pocket Operatorは、KORGのVolcaシリーズやmonotribe、SQ-1などで採用されているSync端子の信号と互換性があります。
写真のように、SyncKontrolアプリを利用したiPhoneとのテンポ同期も可能です。
また、複数デバイスを数珠つなぎにして同期する事もできます。ディジーチェーンにする場合、接続には3.5mmステレオのオーディオケーブルを用いて、片方のチャンネルには音声、もう片方のチャンネルには同期信号を流して同期させます。入力端子と出力端子の役割はSyncモードの設定で変更します。
KORGの同期信号は、8分音符1回ごとにパルスを送ってシーケンサーのステップを進ませるというだけの簡単な仕組みなので、色々な物に応用が出来そうです。
使ってみた感想
- 操作が少し分かりづらい
同じ形のボタンが大量に並んでいるのでたまに押し間違えます。同時押しの操作もかなり多いです。
別売りのケースを買えばもう少し楽なのかもしれない。
それから、LEDも各ボタンに1つずつしか無いので、沢山音を入れ過ぎると何が何だかよくわからなくなります。 - 裏にある謎の端子がちょっと気になる
本体裏面の上の方の端子は、公式サイトには JTAG PROGRAMMING PORT と書いてありますが、もしかしてアップデートとか改造とか出来るんでしょうか……?(期待)
裏面中央部の端子は外部スピーカーをはんだ付けするための端子のようです(最初、静電容量式のボリュームボタンかと思って触りまくってました)。 - つまみが若干グラついたり挙動が不安定な事がある
テンポとか細かい数値を弄るときとかはちょっと気になりますが、これは安いので仕方ないかな……という感じです。 - コストパフォーマンスが良い
この価格とデザインで同期も出来るので、ちょっとしたジャムセッションやパフォーマンスにはもってこいだと思います。 - 電池を抜くと作ったパターンや時計がリセットされる
パターンに関しては、USB接続してPCにバックアップ出来るような機能とか、欲しかったです……。
というわけでPocket Operator に関してはそんな感じです。
ではまた!